ここ1-2年、両親が代わる代わる入退院を繰り返し、どっちかが病院にいる事が当たり前のようになってきた。後期高齢者になるとは、こういう事なんだと、とっても冷静に受け入れている。でも、姉兄と私には相当な温度差があって、典型的な面倒くさい患者家族系だよなぁと感じる事が良くある。加齢による身体機能の低下を医療でなんとかできると、本人も家族もそれを疑わないから、訴訟にもなるんだろうなと。先生は良くなるって言ったのに!と良く聞く。いや、患者側の努力なしに良くなるとかあり得ないんですよ?と家族に言うと、私は非国民のように言われる。
どんなに私を責めたところで、命の終わりは確実に訪れるという現実からは逃れられない。
父が前立腺癌の宣告を受け、今後の治療方針を医師から告げられたのは、今年の桜の咲いた頃でした。年齢的にもう無理な治療をせずに天命を全うできるように、その為に全力を尽くしたい。癌の宣告を受けてもタバコが止められないし、健康的な生活習慣なんて全くない実家の習慣を今更どうにか出来るわけもなく、それは、本人の命の選択でしかないので、もう、好きにしなら良いと思ってる。
治療が軽いうちに、体が動くうちに、何がしたい?と聞いたら、両親が口を揃えて、もう一度、ハワイに行きたい、もう一度、ハレクラニに行きたいと言った。 そう、昔、15年前くらいだけど、ビジネスクラスに乗せて、ハレクラニに泊めてなんていうハワイ旅行を両親にプレゼントした。その旅行がもう一度したいという…。
父母よ、あれは、マイレージでビジネスクラスにアップグレードして、更にホテルは何かのキャンペーンでめっちゃ安く泊まれただけなんですわ、、、素でそんな事、出来るわけがないんですよ!普通に破産出来ますわ…。そりゃ、誰でももう一度行きたいと思うだろうなぁ、むしろ、私も行きたい。
でも、もし、今回が最後の機会だとしたら、きっと後悔するので、無理をしてでもその希望を叶えてあげようと、最期の楽園ツアーを組む事にした。ただ、両親から目を離したくないので、みんなで泊まれるホテルに替えて。
が!
ハワイ線、ビジネスクラスが取れない…。まぁ、割とリーズナブルで出せなくはない金額だからでしょうけど、何せ混んでる…。子供連れも本当に増えて、安全という認識が多いのか、びっくりするくらい、妊婦さんも増えた。加えて、アジアの各国から日本で乗り継ぐ。15年前とは事情が違う。
両親には妥協もしてもらいつつ、職場にワガママを言わせてもらい早い夏休みをもらう事にしました、家計的にも相当無理をして…。
だけど、人生をゆっくり振り返る時間を持つ事で、現実を受け止めて、まだまだ生きようとして欲しい。生きようとする事が一番の治療法だと思うんです。
その為なら…と思い清水の舞台からバンジージャンプをしたのに…
なのに…。
娘の思いより、孫の可愛さ。
これですよ、これ。小さな姪はじぃじが大好きで、恐ろしい女子力でベッタリ甘えるのです。
「まだまだ死ねない、治せるものなら治りたい!」
とっても良い事なんだけど、なんだろ、少し複雑…。
孫の笑顔はプライスレス。
姪っこちゃん、生きるチカラを与えてくれて、ありがとう、、、。