講師の仕事をするようになって何年経ったのだろうか?

米国の空の上からみたような広大な土地が広がる電車の窓から、何度か講師としてお招き頂いたこの地での講演の事を思い出していた。

北海道での講演はいつが最後だったかな…。4年前かな?そう、財団を設立させて間もない頃だったかな?

今現在、あの頃に描いていた事は現実になっている。絵空事のような未来予測にしか聞こえてなかったのだろうけど、全くその通りの世界が今の姿にある。ただ残念な事に、課題ですよ、解決策を考えてくださいね、と言っていたものの、それが実施される事がなく、未来に大きな負の財産として先送りがなされているだけの現状には切なさしか感じない。

情報格差は生活格差になる。格差を広げているのは政策の問題だけではない。何でも政治の責任と言い出す人任せで無責任な国民こそが格差社会を生み出しているのではないかと思わずにはいられない。情報を自ら全く取ろうとしない人達を何故助けねばならぬのか…。時々、米国人のような思考が私の頭の中を支配する事がある。堕落した人を助ける為に高額な税金を納めている訳ではないと…。

ふっ…いけない、いけない…。

MC担当の若い先生がお見えになっていた。4年目の先生。若い、実に若い。でも、この若い先生達は、きっと、日本の救急医療が発展を遂げきたようなそんな劇的救命の世界観はあまり経験される事も無くなるのだろう…高齢者医療が主となった救急の現状を聞きながら、そう感じた。若い世代はとても客観的なのは職種を問わない。

そんな話を聞きながら、今、私が未来の時間で生きているからかも知れないけれど、あ… 変わる…。時代が本当に大きく変わる。そんな瞬間が訪れたように感じた。

夕張市が2007年にデフォルトをして、早、10年が経とうとしている。地方自治体がデフォルトするというのは、これからは、ある意味では、全く珍しい話ではなく、そこら中、日本全国で聞こえるようになる、実は先端事例が夕張市だ。夕張市の救急救命士の役割は大きい。医師がいない分、医療者としての知識は必要とされる。だが、当然、労働環境は良いわけがない。

そう、以前、国だって巨額の借金があるのに潰れないんだから、地方自治体だって実際は潰れないという人に出会った。頭おめでとうございます系ポジティブな人が行政にいる不幸については一度議論をしてみたい。

日本の弱さは、現状認識をしない点にある。それは、結論づけられるくらいに、特に、行政は現状認識をしろというと不祥事を表に出す事ができないと脳内変換がなされるのか、見事に、ワンダフルワールドな認識しかしようとしてない。夕張市がデフォルトまで追い詰められた要因は、現状認識をしようとせず、いや、現状認識をするのが怖かった人達による情報隠蔽が事態の悪化を招いたとも言えるのではないでしょうか。

そう、今の、東京都の豊洲問題やオリンピック委員会のような、だーれも現状認識をしようとしない、まさにワンダフルワールドと同じ。何故、現状認識をしようとしないのか?今を認識しなくてどうやって未来を描くつもりなのか?未来を空想でしか描かないから混乱するのに。実現不可能な夢物語はビジョンとは言わない、それは、妄想と言う。

米国で感じていた強い不安な思い。それが夕張市の救急の現状の話を聞いていたら、あ、そうか!そうか!これは、いいかも知れない!という、すごいアイデアに変わった。

そう、実は先端事例がそこにあるという事が分かったからかも知れない。救急医療の未来のカタチを試せる地域がここにある。

お金がないのに?どうやって?

いや、お金を作れるビジネスモデルが出来るかも知れない、いや、作れると思う。

人口減少少子高齢化による地域医療では何がどう有効であるか、まだ何も分からず手探りな状態の今だからこそ出来ることがあるように思った。

夕張市の地方自治体のデフォルトは間違いなく今後の先端事例でしかないのだから、彼等が辿った道こそしっかり検証すべきであって、そこから、未来の課題が見えてくるはずだ。

救急の世界にも急激に人工知能が入ってくる事になるのでしょう。専門医は、この先、雇う時代からシェアする時代へと変化していくのではないかとも予測している。その地域に医師が24時間いなくても医療が成り立つ時代はもう直ぐそこまで来ているはず。

そんな未来型を必要としている現実が実際にある、それが、よく分かった。ネガテイブはポジティブの始まり。

あとは、法律が現在に追いつくか否かではあるが、日本の場合は、高齢者医療の混乱でなし崩しの法改正になる事も予測は簡単。だからこそ、トライ アンド エラーで検証できる今はとても大切だと思う。

あぁ、こんな仕事がしたい。本当の意味での未来の人のための情報提供をしていきたい。自分の中の価値観が変わったのです。

懇親会がない事が本当に残念という世界観から卒業させてもらう事にしようとも決意した。どんなに良い情報を提供しようと頑張っても、今のままなら何も報われない。ま、その言葉に傷つくのはもう嫌になったのかもしれないけど。10年かけて出した結論、30年先の未来に健全な救急医療を残す為に、私は次のフェーズに進まなければならない、その時が訪れたのだと思う。